卒業後の活躍について訊くインタビュー 山田 和奈さん編
山田 和奈さん
2023年 心理・コミュニケーション学科 心理学専攻 卒業
勤務先:三井住友信託銀行株式会社
―― お仕事の内容について教えてください。
私は住宅ローン営業を担当しています。お客さまが住宅ローンを組まれる際の疑問やご不安を解消し、人生の一大イベントに携わらせていただけることにやりがいを感じています。
―― 銀行という業界に興味を持ったきっかけはあるんですか?
私は就職活動をする際、業務内容よりもその企業に勤めていらっしゃる方々の人柄や雰囲気を重視していました。様々な業界の企業説明会に参加する中で、金融業界には自分と似た雰囲気の方が多く自分自身の個性や良さを最も発揮できると感じたことが興味を持ったきっかけです。
―― 銀行と心理学って一見するとどうつながるんだろうと思うのですが、大学で心理学を学んだことが仕事にどう活かせていますか?
お客さまの潜在的なニーズやご不安をお話ししながら引き出せるというところにおいて、心理学を学んでいたことが活かせているのではないかと思います。私は接客の際に、言葉では「分かりました」とおっしゃっていたとしても「もう少し説明を聞きたいな」と思われているのではないかなど、お客さまが本心ではどう感じているのかを意識しています。発している言葉と実際に抱いている感情に違いがあることを心理学で学んだからこその視点だと感じます。
―― なるほど、それは具体的に役立ちそうですね。それ以外に、心理学の「知識」だけじゃなくて、考え方とかスキルとか経験とか、そういう部分で何か仕事につながっているというか、活かせている部分ってありますか?
時間がない中でも全力を尽くして最善のものを作り上げるという部分は大学4年間でとても鍛えられたと思います。大量の実験データをまとめたり論文を書き上げたりした経験は会社の業務の中でも役立っていて、大学生の時に頑張ったことが自分の力になっていると実感しています。
―― 卒論をがんばれば社会に出ても怖いもの無しですね!(笑) ところで、卒論ではどういう研究をやっていたのか教えてください。
認知心理学のゼミで、名古屋大学の方々と共同で人型のアンドロイドを用いた研究を行いました。アンドロイドが失敗をして恥ずかしがった時、アンドロイドに対する信頼感や親しみやすさにどのような影響があるのかを実験を通して検証しました。
―― 実際にやってみて期待した結果は得られたんですか?
人間の場合、失敗をした時に恥ずかしがると信頼感や親しみやすさが増加することが分かっています。アンドロイドも同様の結果が得られると仮説を立てましたが、アンドロイドが恥ずかしがっても信頼感は増加せず、親しみやすさのみ仮説通り増加するという結果が得られました。完全に仮説通りの結果が得られた訳ではありませんが、得られた結果をもとに「では、アンドロイドと人間の違いは何だろう」と知見を深めることができました。今後アンドロイドやAIがさらに日常に溶け込んでくる中で、それらをどう活かすことができるか考える際に研究の結果が少しでも役に立てば良いなと思います。
―― そうですね、心理学の知見が社会に役立っていくといいですね。 話は変わりますが、東京女子大を受けてみようかなって思ったきっかけはあるんですか?
高校生の頃に参加したオープンキャンパスで、田中章浩先生の模擬授業を受けたことがきっかけです。模擬授業では目の錯覚や音楽の認知、日本人と欧米人の感情を判断する顔パーツの違いなどを扱われていて、このような分野も心理学なのかと興味を持ちました。心理学というと曖昧なものだと思われがちですが、人々が漠然と印象で捉えているものを実験・分析し目に見える形にして実証するというのがとても面白いなと感じました。文系ではありますが半分理系のような実験系の心理学もあるのだというところに惹かれ、将来ここで卒論を書きたいと思い受験しました。
―― 自分の模擬授業がきっかけになったと聞けて、うれしいです! では、最後に高校生のみなさんにメッセージがあったらお願いします。
高校生のうちは何かを決断する時に「周りにどう思われるか」を気にすることも多いと思います。でもそういうことはあまり気にせず、自分のやりたいことや自分の本心と向き合う時間を大切にしてほしいと思います。また本心では「一生懸命やりたい」と思っていても一生懸命やりづらい環境というのも世の中にはあると思います。その点、東女は真面目で一生懸命やることが美徳だと思っている人が多く、卒論にしてもサークルにしても色々なことに全力で向き合う人ばかりでした。東女に行きたいと思ってくれている高校生の皆さんには、東女は自分がやりたいことに全力で取り組むことができ、それを周りも応援してくれる環境だとお伝えしたいです!
(聞き手・田中章浩)